スパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』を観た。図書館にあった『ユリイカ2019年5月号 特集=スパイク・リー』を手にとったことがきっかけだ。
映画の話になれば名前をよく耳にするが、実際にどんな人でどんな映画を撮る人なのかまったく知らない。最近撮った映画は話題になっているようだ。その『ブラッククランズマン』も明らかに人種問題をテーマとしているし、どうやら過去の作品から一貫して人種問題をテーマにしているようである。いきなり最新のものを観るのではなく少し遠回りにはなるが、理解を深めるため、過去のものから観はじめたというわけだ。
あらすじ
舞台はブルックリン。イタリア系アメリカ人のピザ屋で働く主人公の黒人青年ムーキーは、ピザの配達に行くたびに寄り道をしてばかりだ。街にいるのは、缶ビールを飲みながらうろついている市長というあだ名の男、ラジカセでパブリック・エネミーの「Fight the Power」を爆音で流しながら生活しているラジオ・ラヒーム、ピザ屋の壁に黒人の写真が飾られていないと怒るバギンなどなど、と一癖ある人々ばかりだ。
うだるような暑さの日、通りに住む人々は、小さな諍いを起こしながらも、それぞれ自由に生活をして平和に暮らしている。だが、その中の一つの小さな出来事から起こった諍いが人種間の問題に発展し、止めに入った警察による過剰な暴力で、取り返しがつかない事態が引き起こされてしまう。
強いメッセージ
この映画のタイトルの言葉は酔っ払いの市長からムーキーに向けて語られる。
"Always do the right thing."
登場する人物全員がみな常に正しいことをしていると思って生きているようにみえる。みんなの正しさの積み重ねが悲劇につながっていくのは避けようのないことなのか。それとも、常に流れているパブリック・エネミーの「Fight the Power」が象徴するように権力と戦えば悲劇は避けられるのか。
映画の終わりにラジオから、昨夜の騒ぎの原因を調査して同様の事件の再発防止を防ぐというNY市長の談話が聞こえてくる。
原因は私にはまだわからない。もう少しスパイク・リー監督の作品を観てみようと思う。
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