2021年5月30日日曜日

長野県立美術館でスーパークローン文化財展を観てきた。

長野県立美術館がリニューアルされた

善光寺の近くに美術館があることを知ってはいても、美術館は敷居が高く感じられて足が向かなかった。2021年4月10日に「長野県立美術館」としてリニューアルされたことを知って、なんとなく興味がありそうな展示を調べてみた。調べてみると、スーパークローン文化財展のことが出てきたので、頭の片隅に置いておいた。展示の終わりが近づいてきている中、ようやく人出の少なそうな雨の平日に行くことができた。

スーパークローン文化財展とは

公式HPから引用すれば、スーパークローン文化財の定義はいかのようになる。

東京藝術大学で開発された高精度な文化財複製である「クローン文化財」は、伝統的な模写の技術と最先端のデジタル技術に人の手技や感性を取り入れ、素材・質感・技法や文化的背景や精神性などの“芸術のDNA”に至るまでを再現したものです。

今回の主な展示は、バーミヤン東大仏天井壁画、キジル石窟 第212窟、敦煌莫高窟 第57窟、高句麗古墳群江西大墓、法隆寺金堂壁画、法隆寺釈迦三尊像が3つ(!)。釈迦三尊王は作られた当時のもの、現在のもの、クローン途中のものの3種類が展示されている。

平面である絵画よりも立体である像のほうが有難みを感じる。平面は壁の状態などもクローンしているのだけれど、それでも平面の複製に慣れ親しんでるから、それほど大きな驚きがないのかもしれない。

実際に展示を観て

目にするまでは、今回の展示の主題はオリジナルとコピーの話としてとらえていたのだけれど、クローンのレベルが高過ぎて、どうやらその問題はとうに過ぎているようだ。クローンを生成する意味を、「保存」と「公開」の両立としてとらえていて、素晴らしい試みだと思う。クローンの精度をコンピュータと芸術家が協働することで担保している仕組みもとても面白い。

もう少し美術館に行くようにしたい。