2019年6月19日水曜日

『ファクトフルネス』は補正をしてくれる。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
ハンス・ロスリング オーラ・ロスリング アンナ・ロスリング・ロンランド
日経BP

補正方法を教えてくれる

『ファクトフルネス』というタイトルから、あなたはそう思っているかもしれませんが、事実はこうなっていますよと、教えてくれる本だと思っていた。だが、読んでみると、事実を教えてくれるということは当たっていたけれど、そこからもう一歩踏み込んでくる本だった。
事実はこうなっていますが、あなたをはじめ多くの人が事実と異なる認識をしています。認識の仕方を補正しないと事実を正しく見れませんよ、と事実からの補正方法を教えてくれる本だった。

両親の幼少期への補正

人は自分の経験したことを基準に考える性質があると思う。だから経験していないことは想像するしかない。両親から、5円玉を握りしめて買い物にいく思い出話を聞くたびに、自分が育った環境との差を感じながらも具体的にどれほどの差があるのかは想像もできていなかった。

わたしの母が生まれた1921年頃、スェーデンはいまのアフリカのザンビアと同じレベル2だった。母はある意味、ザンビア生まれと言えるだろう。
ハンス・ロスリング他著,『ファクトフルネス』,日経BP社,2019,75頁

このファクトフルネスの言葉に従えば、わたしの母が生まれた戦後間もない頃、日本はいまのアフガニスタンやマリと同じレベル1に属している。これは想像以上の貧しさだった。
わたしが生まれたとき、日本はレベル3にいて、わたしが物心がつく頃にはレベル4へ入る。30年ほどの違いで、ここまで差があるとは思ってもいなかった。

補正が必要な理由

『ファクトフルネス』の基準で考えると、わたしはレベル3とレベル4の世界しか知らない。今までの旅行で一番ギャップを感じたインドですらレベル2だ。両親の生まれた時の日本はレベル1である。考え方や生き方にも自ずと大きな違いが現れるだろう。
育った環境や、違いの程度を少しでも詳しく知ることが出来れば、寛容にお互いを理解しい合うことも出来るかもしれない。