2023年1月27日金曜日

『チェチェンの呪縛 紛争の淵源を読み解く』を読んで、歴史を忘れないようにしようと思った。

『チェチェンへようこそ ゲイの粛清』という映画が気になっていた。LGBTがニュースの話題として登ることが当たり前になった現在、性的嗜好によって命に危険が及ぶ国とは、どのような国なのかと興味を持った。

あるとき図書館の棚を眺めていたら本書『チェチェンの呪縛』が目に入った。手にとって見ると、チェチェンはロシアに隣接していて、90年代にはロシアと戦争をしていたようだ。ロシアと隣接する国との戦争。現在起きているウクライナとロシアとの戦争を理解する手がかりになるかもしれないと読み始めた。

政権のための戦争

チェチェンから逃げてきた人々の難民としての暮らしと、逃げても続くロシアからの暴力が冒頭で描かれる。チェチェンへの空爆とそれに対して行われる報復としてのテロ。戦争のきっかけはチェチェンの独立にあるのだろうが、それを許さない理由はロシア側にある。

チェチェン戦争の狙いは、本書で述べたように、おもに資源争奪をめぐる経済戦争であったのと同時に、エリツィン、プーチン両政権を通じてつねに政権を浮揚させる梃子として利用されてきた。
横村出,『チェチェンの呪縛 紛争の淵源を読み解く』,岩波書店,2005年,位置2521

石油資源をめぐる戦争というのは理解できる。本書を読んで考えさせられたのは、政権のために戦争が行われているという点だ。支持率をあげるためにテロへの報復として空爆が行われる。

資源の確保ではなく、テロとの戦い

資源確保のためにチェチェンの独立をロシアが許さない、というのがもともとの戦争の理由だ。しかし、9.11以降、戦争の理由が「テロとの戦い」となり激しさを増す。戦っているのはロシア人とチェチェン人だったはずだが、厳戒態勢化の選挙で成立した親ロシア政府軍が、独立派チェチェン人による「テロとの戦い」を始める。

この時点で、丁寧に歴史を振り返らなければロシアとの関係が見えにくくなっている。チェチェン人同士の紛争にすることで、ロシアの責任を見えにくくし、チェチェンを「正常化」しようという意図が見える。「正常化」してしまったチェチェンでは、もう体制に反対することは難しくなるだろう。

難民の人々は、理由もなく平和な生活を奪われ、慣れない土地で暮らさざるをえない。将来の見通しも難しい。解決への糸口も見えない。こちらから情報を得ようとしない限り、現在のチェチェンの情報が報道されることもない。 少なくとも忘れないようにすることで抵抗していきたい。

2023年1月12日木曜日

『だし生活、はじめました。』を読んで、だしをひいてみた。

どんな本か

料理をするならば、だしをひいた方が良いという気持ちはあるが、それでもなかなかだしをひくことが出来ない。 本書は、だしのひき方を教える本というよりは、そんな人の背中を押してくれるの本なのではないだろうか。

だし生活をはじめるに際しての道具の購入からはじまり、だしとなる鰹節・昆布がどのように作られているか、関東と関西のだしの歴史がどのように形成されたのであろうかなどが描かれる。だしを巡る知識を外堀から埋めていき、だしへの興味を深めていった結果、だしを取り始めるようになる人々の姿が目に浮かぶ。

だしのひき方

もちろん、かんたんな昆布だしのひき方を知ることも出来る。

1リットルの水にだし用の昆布10グラムを入れ、冷蔵庫に入れて一晩から二晩おく。
梅津有希子,『だし生活、はじめました。』,祥伝社,2015,178頁

読み終えてすぐに真昆布を10ぐらむを入れて出汁をとってみた。乾麺のそばのつゆに昆布だしと醤油を入れるだけで十分美味しかった。

かんたんな鰹だしのひき方もしることが出来る。

分量は、水1リットルに、本枯れかつお節を15グラム。 鍋に水を入れて沸騰したら、大きめのボウルに熱湯を注ぎ、かつお節を入れて1分待ちます。その後ふきんでこして出来上がり。
梅津有希子,『だし生活、はじめました。』,祥伝社,2015,72頁

こちらは家にかつお節がなかったので、まだ試せていない。ふきんでこすのは難しそうなので、家にあるかつお節こし器を使ってみようと思う。

良かった点

スーパーでは日高昆布をよく見かけるが、だしをひくのならば日高昆布ではなく、真昆布か羅臼昆布をオススメしてくれている。濃厚さから真昆布か羅臼とのことで、昆布だしに慣れていなくて、だしをひいてもあまり味を感じないと続かないと思うので、濃厚さは重要だと思う。手間をかけた見返りが少ないと続かないと思うので。

かつお節出汁はまだ試せてなく、何も知らない状態が続いているので、具体的に良かった点もまだわからない。今後に期待。 少なくとも、選ぶべき昆布とかんたんな出しのひき方がわかったので、良かった。今後も無理せず続けていきたい。