フランス革命のことを知りたくなったのは、自由と平等の成り立ちと、封建主義から国民主権への移り変わりがどのように行われたか知りたかったからというのが一点、もう一点は、自由と平等を獲得したフランスと植民地との関係を知りたかったからだ。
フランス革命の影響
自由と平等の成り立ち、封建主義から国民主権への移り変わりが本書で取り上げられている中心と言えるだろう。 フランス革命と植民地との関係への言及はない。フランスと他国との関係でいえば、フランス以外のヨーロッパのでは王国が成立していて、その中で国民主権を目指すフランス革命が起こったとなれば、他国が自国への影響を恐れるのは当然であり、またフランスが獲得した自由と平等を他国へ広めていこうというのも当然である。戴冠したナポレオンがどのような行動をしいていくのか気になるところではあるが、それは本書では描かれていない。
フランス革命を成し遂げた場合、他国にとって封建制度を土台から揺るがす脅威となり戦争の種となる。フランス革命を成し遂げたいフランス内部の目線でしか考えていなかったが、他国から見れば煩わしい問題が起きていて火の粉が降り掛かってくると見える。この観点からは考えたこともなかった。
フランス革命の成り立ちへの違和感
国王ルイ十六世は、改革派で国民のためを思って革命を許容しているように思える。ヴァレンヌ逃亡事件など、革命の妨げとなる行動もしているが、現代の人間と地続きの感性を持っているように思われ、処刑は象徴的な意味合いが大きいように思える。王妃マリーアン トワネットの処刑に関しても、革命政府による革命裁判で処刑された人々に、今まで革命を戦ってきた同士も含まれてくるのをみると、処刑の意義は見いだせない。
ロベスピエール率いる革命政府による恐怖政治は、国王が主権を持つ絶対王政から国民主権への移行の失敗と捉えることも出来る。国民主権を実現するに際して、ナポレオンを皇帝に擁立するという方法以外で、実現することは難しかったのか、よく考えてみたい。
フランス革命の結果
本書のタイトルが『物語フランス革命』であることを考えると、処刑されて空白となったルイ十六世の替わりに、生まれを問わない新たな王として皇帝ナポレオンが戴冠をしたという結末は納得のいくものである。しかしながら、自由と平等、国民主権という観点ではこの結末で良かったのだろうか、という疑問は残る。
王政が倒れたあとの革命政府による恐怖政治の様子をみると、新たな王を擁立しなければ安定した政治を築けなかったのかと思わされる。国民主権という観点から考えれば、一度実現した男性普通選挙も、財産による参政権の制限が復活していることからも、フランス革命で国民主権を勝ち取ったとは言い難いのかもしれない。
すべてが願い通りになったとはいえないかもしれないが、それでも封建主義からの抜け出す大きな一歩だったのだろうことは本書から理解は出来た。