2023年4月3日月曜日

『パレードのシステム』の読書会に参加した

長野市で高山羽根子さんご本人がいらっしゃる読書会が開催されることを知り、急いで申し込んだ。まだ定員に達していなかったようで、なんとか参加できることになった。読書会自体、初参加であり、本を読んでいくかどうかすら知らなかった。確認したら課題図書を読んでいき、意見を掘り下げていくのが基本のようだ。読書会まで5日しかない。すぐにKindleで『パレードのシステム』を購入し読み始めた。

いくつかの重要と思える要素

きっかけとなる出来事は祖父の死と、それにともなう葬式だ。

死をきっかけに祖父の過去を知り、それを知るために行動することになる。葬式は記録に残りにくい、過去の風習が残るシステムとして描かれる。表題の『パレードのシステム』とは、葬式のシステムのことだろう。 祖父の遺品が台湾に関することであることがわかり、台湾出身の知り合いの梅さんに相談する。遺品の中に残っていた新聞などに、なにか祖父の過去の手がかりを求めてしまっていることに主人公はためらいも感じている。祖父は台湾で生まれたということがわかる。

父親の葬式へ出席するため帰国する梅さんとともに、主人公も台湾へ向かうことになる。梅さんの父の葬儀は日本の葬儀とは異なる。台湾の原住民の歴史も日本の歴史とは大きく異なる。例えば、好兄弟であり、出草であり。

カスミの死は、ピタゴラ装置で自死する仕組みである。ここでもシステムである。

システムによる生と死を描いているのではないか、というのがテーマを読み取った結果だ。『パレード』はもしかしたら生を現しているのかもしれない。

顔のテーマ

まだよくわからないのは、顔をテーマとしていること。主人公の芸術作品は顔をテーマとしている。誰のものでもない、でも誰かには似ているあるいはすべての人に似ている顔、としているので、これを小説に読み替えれば、誰のものでもない、でも誰かには似ているあるいはすべての人に似ている人生、という形になるのではないかとは思う。

台湾の原住民の間では、顔への入れ墨が民族を区別する印となっていたこともある。ペッパー君の顔認識、梅さんの祖父と父親の顔を覚える能力。台湾の鬼に顔と名前を一致されるのは縁起が悪い。

果たして、これで高山羽根子さんご本人もいらっしゃる読書会へ挑んで良いのだろうか。心配である。

読書会へ参加してみて

高山羽根子さんご本人から直接お話を聞けた、また感想を言えたのも良かった。参加者が10人の読書会で皆さんそれぞれの感想だったのもあるかと思うけど、多解釈できることが良いということをおっしゃっていた。「テーマは3つ」で、『首里の馬』もテーマは3つくらいということをおっしゃっていて、複数のテーマを1つのテーマに収束させようとしなくても良いのだと、少し読みの幅が広がったように思える。

ひとつだけ心残りなのは、同時開催されていた『高山羽根子手書きメモ展』で展示されたいたメモがどのように書かれていくのかを質問しなかったこと。メモがスケッチブックに貼られて、きれいな作品になっていたので、どのような工程で最後に目にした形になっていくのか気になった。